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小児の記事一覧

脳性麻痺児 コミュニケーションの発達について①

2022.08.04 | Category: 小児

脳性麻痺のお子様について、運動機能・摂食に次いで、言葉やコミュニケーションの発達のご相談をよくお受けします。

今日は、言葉・コミュニケーションの発達と支援についてお話したいと思います。

我々大人は、どうしても「言葉が話せるかどうか」に目を向けがちですが、まずは「ことば」の基盤となる社会性・認知機能の発達が重要となります。

【社会性の発達】

子どもは生まれながらに人への志向性を持って生まれてきます。

下の図は赤ちゃんの視線を現したものです。

左が生後一か月の赤ちゃんの視線の動きです。目や顔の輪郭に注意を向けています。

右は生後二か月頃の視線の動きです。このころになると、相手の目や口元に注意を向けるようになり、あやすと笑う、声を掛けると声を出して答えるといった反応を返すようになります。

このような人との相互作用によって人との信頼関係が形成され、他者とコミュニケーションが取りたいという動機が生まれてきます。

お互いのアイコンタクトは「ことば」の発達の第一歩です。

しかし、脳性麻痺のお子様は視線をむける、つまり眼球運動に対して難しさを抱えているお子様が少なくありません。

ご両親や療育者の方は、是非、座位保持装置を使用したり、首や頭が安定するように抱っこをしてあげて下さい。

首や頭を安定させてあげるだけで、眼球運動がとてもスムーズに行いやすくなります。

次に、お子様が口の動きを捉えやすいようにゆっくりと大きな口の動きで話しかけてあげて下さい。

中には、首や頭を安定させても目が合いにくいお子様もいらっしゃると思います。

視線が合っていなくても、実は視界の端っこ(周辺視といいます)で相手の顔を見ていることがあります。

ですから、目線が合っていなくてもお子様から両親・療育者のお顔が見えるように関わってあげて下さい。

 

【認知機能の発達】

認知機能とは、視覚や聴覚等の知覚を通じて外界から得た情報を基に、周囲や自分の状況を認識して適切に行動する能力のことです。

ことばを話す前段階では、見る・聞く・触ることでものごとを認識していくようになります。

ですから、お子様に働きかける際にはアイコンタクトと共に両親や療育者など相手の「声を聴かせること」が大切になります。

実は赤ちゃんは在胎20週目で内耳が完全に発達しています。

生後数日の赤ちゃんでも他の声より母親の声を聴くことを好み、母親と他の女性を区別しているという研究データがあります。

声を聴き、顔を繰り返し見ることで、母親と他者・家族と他者・よく関わってくれる療育者と他者といった区別がつき、自分の周りの人間関係の形成の理解、そして信頼関係の形成につながります。このようにして発達し6か月ごろで人見知りがはじまります。

人見知りは、普段慣れ親しんでいる人とそうでない人がわかっている証です。

たくさん声を掛けられること・様々な音を聞くことで、耳の位置から左右や上下に音を正確に位置づける能力が発達し、声を掛けられたらその方向に振り向くということが可能となります。

コミュニケーションを取る上でとっても大切な能力ですね。

お子様の中には、気が散りやすい方もいらっしゃるので、まずはあまり騒がしくない環境がよいでしょう。

そして、間を延ばした話し言葉に興味を示しやすいので、やはりゆっくりと話し掛けることが大切です。

 

まだまだお伝えしたいことがありますが、少し長くなりましたので、一度ここで区切りたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

加藤でした

勉強の環境設定の工夫

2022.04.03 | Category: 小児

みなさん、こんにちは。4月になりました。お子様達は春休みの折り返しですね。

長期休みの保護者様の悩みと言えば、毎日のお昼ごはんのメニューと子供の宿題・勉強を如何にスムーズに終わらせるか……! あれ?我が家だけですかね?我が家の長期休みのお昼ご飯は、うどん、チャーハン、焼きそばの出現率がめちゃくちゃ上がります。「またこれ?」って顔をされますが、一応は何も言わずに食べてくれます・・・。

そしてもう一つのお悩み、お子様の宿題・勉強についてのお話です。普段、お子様は宿題や勉強をどこでされていますか?自室?リビング?低学年の間なんかは、リビングで宿題をされる機会も多いかと思います。リビング学習は保護者様の気配や生活音を感じながら、リラックスした状態で勉強ができるメリットがあります。しかし、下のお子様が遊んでいたり、リビングにあるおもちゃに視線が行ったりと、集中しにくいこともあるかと思います。

特に発達障害をお持ちのお子様は集中しにくい傾向にありますので、勉強をするための環境の設定は非常に重要になります。

そこで、今日紹介したいものがこちら!

据え置き型の卓上パーテーションです!すいません、正式な商品名を控えていませんでした・・・。#卓上パーテーション#リビング学習で検索して頂ければ、すぐに見つかると思います。お値段は安い物では1000円代から販売されています。

このように、空間を囲って気になるものが視界に入らないようにすることができます。不必要な情報を遮断することができますし、広い空間よりも狭い空間の方が集中力が上がるという研究もたくさん出ています。

 

全体の写真です。ペン入れ、クリップやポケット、プリントを入れておける透明なポケットがついています。この卓上パーテーションのポケットたち、とてもありがたい存在なんです。

発達障害のお子様でいざ勉強を始めると、とても気になることがあります。もちろん、よく言われる姿勢の悪さや落ち着きのなさなんかもありますが・・・。

それ以上に・・・。めちゃくちゃ机から物を落とす!!!!

鉛筆は言わずもがなですし、消しゴム・定規・赤青鉛筆なんかはすぐに行方不明になります。(たいてい、ノートの隙間や教科書の下から出てきます)せっかく勉強に集中してきても、鉛筆を拾うために勉強を中断、消しゴムを探して勉強を中断、定規がなくて勉強を中断、なんて場面がたびたびあります。あるお子様のお母様は、ノートに字を書いている時間よりも鉛筆や消しゴムを探している時間の方が長いかも。なんておっしゃっていました。

私たちは無意識に次に使いやすいように視界に入りつつ、机から落ちない場所に消しゴムを置きますが、このようなお子様方は何の気なしにポンと消しゴムをおいてどこに置いたか分からなくなります。

また、自分の身体と物の距離感がつかみにくいお子様もいらっしゃるので、筆箱にきちんと入れるように援助しても、結局は筆箱ごと床に落として筆箱の中身をぶちまけてしまうなんてこともしばしば。(よく身体をあちこちにぶつけるお子様に多いです)

しかし、この卓上パーテーションのペン入れに消しゴムや鉛筆、定規を入れておけば、物を落とす頻度がかなり減らせます。また、机にたくさん教科書やプリントを出していることも消しゴムや定規など勉強道具をなくす原因になりますので、クリップやポケットに教科書・プリントを挟めば、机にはノートだけになり物をなくすこともかなり減ります。

使った後はこのように小さく折りたたむことができます。A4より少し大きいぐらいです。

昔はこんな安くて便利な物はなかったので、板を切って、ヤスリをかけて、ニスを塗って、丁番をつけて・・・。と手作りしていました。板で作ったパーテーションは重量感がとてつもなかったです。

便利ないい時代になりましたね。

また何かご自宅で使えそうな便利な物を見つけましたら紹介したいと思います。

今回は卓上パーテーションのご紹介でした。お子様によって集中できる環境はそれぞれだと思います。我が家はこんな工夫をしています!なんてことがありましたら、是非教えてください★

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

加藤でした

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