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運動学習③ー学習の効果を持ち越すためにー

2023.08.28 | Category: 成人

前回の投稿から、少し期間が開いてしまいました。

暑い日が続きますが、体調は崩されていませんか?

早く涼しくなってくれるといいのですが・・・。

 

今回は運動学習シリーズ③として、運動学習の学習効果を持ち越すために大切なことについてお話出来ればと思います。

 

【学習効果Carry-Over(持ち越し)のために】

①学習の転移

学習の転移とは、以前の練習や別の課題の経験の結果が能動的または否定的に影響することをいいます。

例:ベッド⇔車いすの移乗の運動を学習した結果、車いす⇔トイレの移乗も可能になる

SchmidtとLee(2005)は「学習の転移の量は課題や環境の類似性に依存している。つまり、治療の環境が実際の環境により類似するほど転移はよりよく起こる。」と述べています。

リハビリで「できること」が自宅で発揮できないなんて経験をしたことはありませんか?

リハビリで「できること」を自宅で「していること」にするために、自宅や職場環境などの詳細な情報収集を行い、できるだけ目標とする課題を遂行する時と近い環境を設定し、練習することが大切です。

 

②学習の定着

運動学習の定着は24時間後に再学習したほうがより完全になるとKrakauer & Shadmehr(2006)は述べています。

回復期の病院を退院した後は、ほとんどの方が毎日リハビリを受けることは難しくなり、「24時間後に」というのはなかなか達成しにくい状況になりますよね。そこで大切なのが、自主練習です。リハビリがない日は是非、無理のない範囲で自主トレを行ってみて下さい。

生活のスケジュールの都合で、自主トレもあまりできないという方もいらっしゃるかと思います。

そんな時は、イメージトレーニングをお勧めします。

運動の想像時には、補足運動野、運動前野、一次運動野といった脳の運動関連領野の興奮性が増加することが報告されています。 (Sharma et al.2006)

もちろん、一番効果的なのは実際に身体を動かす練習ですが、イメージトレーニングは身体的練習が行えない間の学習を高めることができます。

 

そして、運動学習の定着に外せないのが、睡眠です。

Stickgold R(2005  )は睡眠が記憶の向上に積極的な役割を果たし、特に運動スキルの記憶が睡眠によって固定すると述べています。運動学習の為、良質な睡眠は不可欠です。

是非、生活リズムや就寝環境(ベッドのマットレス、枕、クッション等)を整えて自分にとって快適な睡眠が取れるように工夫して頂ければと思います。

 

①から③まであった運動学習についてシリーズですが、今回で一区切りにしたいと思います。

長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました!

加藤でした!

 

【参考文献】

1)久保田 競:学習と脳-器用さを獲得する脳-. サイエンス社. 2007

2)Anne shumway-cook Marjorie H.Woollacott 監訳 田中繁 蜂須賀研二:モーターコントロール 研究室から臨床実践へ 原著第5版.  医歯薬出版株式会社. 2020

3)森岡周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門. 共同医書出版社. 2010

4)道免和久:運動学習から考察するリハビリテーション臨床. Jpn J Rehabil Med Vol.56 No.5  2019. P391-397


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