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片麻痺日常生活の記事一覧
9月も後半に差し掛かり、秋らしくなってきましたね。
秋といえば・・・・食欲の秋!
今回は食事動作と姿勢コントロールについてお話をさせて頂きます。
皆様、リハビリの時に「お食事の時は麻痺側の手を机の上に乗せるようにしてくださいね」と
セラピストからアドバイスをもらったことがあると思います。
皆様「わかりました」と言って、できるだけ麻痺側の手を机に乗せるようにしてくださっています。
しかしですよ?・・・正直なところ「麻痺した手を机に乗せないからって何が変わるの?」と、ちらっとでも頭をよぎった方はいらっしゃいませんか?
ここではっきり言いましょう。麻痺側の手、(スプーンを使っていない方の手)を机に乗せないと・・・。
姿勢とスプーン・お箸の操作性が変わるんです!!!!!!!!!
変わるんですよ。大事なことなので2回言いました。
ここで大和大学研究紀要に掲載されていた実験をご紹介します。
医療系専門学校に通っている学生21名に対し、60秒間でスプーンでどれだけの豆を移すことができるかという実験が行われました。
実験は課題Ⅰ.「非利き手を机に乗せる」を行い、次に課題Ⅱ.「非利き手を机に乗せない」順番で行われました。
結果は、課題Ⅱ「非利き手を机に乗せない」方は、早い段階から体が大きく非利き手に側に傾き、前方への重心移動が不十分になる人数が多くなりました。
また、身体の傾きだけでなく、豆をこぼす量も課題Ⅱの方が多くなりました。
中枢神経系に障害がない方でも非利き手を机上に乗せないだけでこんなに姿勢に差が出るんですですね!
原ら1)は研究の考察において
姿勢制御が障害された片麻痺患者では、片手のみを使用した食具操作において健常者以上の姿勢崩れが生じることは明白となり、食べ物が少なくなるほど姿勢制御が困難になることが判明できた.そこで、片麻痺者の食事動作では麻痺側の安定要素がかなり必要になるため、非麻痺側手によるスプーン操作に伴う早期からの麻痺側への体重移動と立ち直り運動を促進して机上に麻痺側上肢を持続的におけるレベルまで到達しておく必要がある.
と述べています。
臨床では「机に麻痺側上肢を乗せておくことが難しい」方によく出会いますし、ご相談を受けます。
麻痺側上肢に力が入らずに机から麻痺側上肢が落ちる、あるいは麻痺側上肢が曲がってくるなど・・・。
そのようなときには、まず麻痺側の骨盤・体幹をクッションなどを使って姿勢を安定させることも一つの方法です。
それでも麻痺側上肢が机上から落ちてしまう方は、「重錘バンド」の使用もおススメです。
このように手首や足首に巻いて使う錘(おもり)です。
これを巻かずに錘を伸ばした状態で、麻痺側の手首や麻痺側の手の甲(指は伸ばした状態で)において、麻痺側手が机から落ちないようにします。
スポーツショップの筋トレコーナーでよく見かけますので、是非チェックしてみてください。
麻痺側上肢が曲がってくるという方は、錘を使ってもなかなか机に麻痺側上肢を置き続けることは難しいと思います。
そのような方は麻痺側上肢と体幹の間にクッションを挟み、麻痺側上肢の重さが直接肩に掛からないようにするだけでも、姿勢の傾きを軽減することができます。
是非、試してみてください。
ここで紹介した麻痺側上肢を机に乗せておく方法はほんの一部です。最適な方法はその方、その方で違いますので是非ご相談くださいね。
(当センターへのお問合せはこちらから)
本日は、食事動作と姿勢コントロール~麻痺側上肢を机上に乗せておくことの重要性~についてお話をさせて頂きました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
加藤でした
【参考文献】
1)原義晴,細川雄平,北山淳,福本倫之,南征吾. 食具操作と姿勢制御の関連性-スプーン操作時の重心移動について―. 大和大学研究紀要. 2015,3,16, 1 , P187-194
http://id.nii.ac.jp/1677/00000028/
皆様、こんにちは。急に暖かくなりましたね。最近は暖かいを通り越して暑い日もしばしば。「暖かくなったおかげで、やっぱり冬よりは動きやすいです」と利用者様から、ちらほらお聞きします。コロナがなければ、皆様に是非積極的にお出かけして頂きたいのですが、現状はまだまだ難しいですね。いつ落ち着くのでしょうか・・・。
コロナ禍もあり、以前より手を洗う機会が増えたと思いますが、皆様手を洗う時の姿勢はどのようになっていますか?
片麻痺の方でよくお見掛けするのが、麻痺側の足や肩・手が後方に取り残されて、身体を捻った状態で非麻痺側の手だけ洗っている、あるいは猫背で体を前傾して膝も曲がった状態で手を洗っている方です。
麻痺側の足が後方に残されていると、体重はほとんど非麻痺側の足に乗ってしまうので、麻痺側の足が支えに使われにくくなってしまいます。是非、麻痺側の足も非麻痺側の足と横並びになる位置に置くように意識してみてください。そうすると、麻痺側の手も前に出しやすくなります。
普段の生活では、麻痺側の腕はどうしても曲がって後方に取り残されることが多いのですが、手洗いは麻痺側手を前に出すチャンスです。痛みのない範囲で麻痺側上肢を前に持ってきてあげてください。石鹸で麻痺側の指や手のひらを擦ることで、脳への刺激にもなります。
猫背になっている方は、前にかがむ前に無理のない範囲で一度背筋を伸ばして下さい。背筋を伸ばした状態をキープしながら、体幹を少し前に倒します。それだけで下腹部の筋肉や背筋が働いているのを実感して頂けると思います。
洗面所は前方に鏡があることが多いですし、普段の姿勢を確認できるいい機会です。手洗い前に一度、鏡を見る習慣をつけてもいいかも知れません♪
普段の生活の何気ない動作でもリハビリになる場面はたくさんありますので、是非実践してみてくださいね!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました★
加藤でした