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小児の記事一覧
今日は、登下校中のお困りごとに対し、ご相談を受けた話をしたいと思います。
当センターのホームページ動画「立ったまま靴下をはくことができるようになった!」にご協力いただいたお子様です。
自閉症スペクトラム疑いと診断され、現在は普通小学校の支援学級に通ってらっしゃいます。
以前は多いと週に一回、登下校中に転ぶことがあったそうですが、最近はバランスや集中力も良くなり登下校中に転ぶことはなくなりました。
他にお困り事がないかお伺いしたところ、
「実は・・・。」とお話してくださいました。
なんでも、登下校中の手荷物に困っているそうです。
お子様は手に何か持つのがとにかく嫌いで、全ての荷物を無理やりランドセルに入れようとするそうです。
下校前にはランドセルに荷物がすべて入らなくて、帰りの準備が中々終わらず、クラス全体の帰りが遅くなることもあったそうです。
お子様ご本人に聞くと、「手提げを持ってると歩きにくくなるの。怒られるのもわかってるけど振り回しちゃうし。途中で置き忘れてくることもある。月曜日と金曜日は荷物も多いし、雨が降ってたら傘も持つからもう最悪」
とのことでした。なるほど・・・。
登校中の動画を見せて頂くと、ご自宅から集合場所に行くまでの間でも、荷物をぶんぶん振り回していました。
荷物を振り回すことで体も振られて、ふらふら歩いているように見えます。
そこでいろいろ調べて、ご紹介したのがこちら
「未来工房 結」さんが販売している「てぶラン」です。
ランドセルの補助バックで、写真のようにランドセルの側面に取り付けることができます。
ランドセルと「てぶらん」の中身です。この日は「てぶラン」に体操服を入れてらっしゃいました。
ランドセルには、上着・水筒・上履き袋、写真には写っていませんが、iPadも入っているそうです。
他社さんで、ランドセルの両側面に取り付けるタイプの補助バックがあったので、そちらも紹介しましたが、(荷物が偏ると重心が傾いてバランスの問題が出るのでは、と考えたので)
ご本人曰く、「オレ入れるところ多すぎても、どっちに何を入れたか忘れる問題があるから1つでいい」とのことで
こちらに落ち着きました。前より自己分析の精度があがってらっしゃって、成長を感じました!(^^)!
通われている小学校は、手荷物は学校指定の手提げ袋に入れる決まりがありましたが、
お子様の特性と登下校中の事情を担任の先生と校長先生に説明し、ランドセル補助バックを使用する許可をもらうことができました。
(ちなみに絵具セットや習字セットなどの大きい物は学校に置いて、筆やパレットなどの汚れ物のみをビニール袋に入れて持ち帰ることになりました)
しかし、今の小学生って本当に荷物多し、重いですね・・・。
お子様のランドセルを許可を頂いて背負わせてもらったら、あまりに重くて思わず「え?修行?」と聞いてしまいました。
「ほんとだよ・・・。」とため息交じりに答えて下さいました(笑)
「でも手荷物持たなくてよくなったし、ストレス減ったよ!お帰りの準備も早くできるようになった!」
と笑顔で教えてくれました。
きっと、大人が気づいていなくても、子供さんが困っている事は大きなものから小さなものまで、たくさんあると思います。
これからも、そんな困りごとを取り除くお手伝いができればいいなと思いました。
お困り事やご相談がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください★
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長い文章になりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
加藤でした
当センターを利用頂いているお子様のお母様からスプーン・フォークの操作についてご相談がありましたので、T字スプーン・フォークを作成しました。
元々は、以前に改造スプーンを作っていて、それを使われていましたが、お子様が大きくなりサイズが合っていなかったので作成することになりました。
最初は乾燥すると固くなる樹脂粘土で作成しましたが、スプーン・フォークが重くなってしまったので、
(総量65g・・・)
素材を変えまして、再度挑戦です。
小学校高学年以上にになると、手が大きくなり、T字の部分を全て粘土や樹脂で作成するととても重くなってしまいます・・・。
健康な方は多少重いかな?といった感じで済みますが、やはり、手首や指の筋力が弱い方には重さはとっても重要な要素になります。
軽量化を図るためにで今回は中芯にホームセンターで売られているホースを使用しました。
ホースを必要な長さに切り、写真のように切り込みを入れて・・・。
スプーン・フォークにくるくる巻き付けて、接着剤でとめます。
今度は自由樹脂を使いました。粒状になっていて60度以上のお湯につけると粘土状に柔らくなります。
溶けている間は、写真のように透明になり、冷えると白色になって、プラスチックぐらいの強度になります。
それをスプーン・フォークと中芯につけて成型し・・・。
完成!
重さもなんとか47gに抑えることができました・・・。
スプーンですくうときに、腕や首に力が入っていたので、すくいやすいように スプーンの先端を上げています。
また、スプーン・フォークを口に取り込むときにも、手のひらを上に向ける動き(回外といいます)が少しやりにくく、肩に力が入っていたので、スプーンの先端が口に向かいやすいように、気持ちカーブをつけました。
人差し指、親指、中指でしっかり把持できるように窪みもつけています。
スプーン・フォークを持った時に、親指と人差し指できれいなC字を作れるように、人差し指の根本の部分を少し厚めに作っています。
スプーンですくうところです。このときはまだ指の部分に窪みをつける前でしたので、すくうときに人差し指が外れていました。
窪みをつけてから、お家で食事をするときも親指・人差し指が外れにくくなったそうです。
リハビリで手の練習をしつつ、スプーン・フォークなどの道具や座る姿勢・椅子の環境を調節しながら、お子様が食べやすいようにお手伝いさせて頂いています。
また、次回のリハビリで様子をお聞きしつつ、調整していきます。
だるまリハビリセンターでは、日常生活でのお困り事に対し、リハビリ・支援をさせて頂いています。
どうぞお気軽にご相談ください。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました★
加藤でした
9月も後半に差し掛かり、秋らしくなってきましたね。
秋といえば・・・・食欲の秋!
今回は食事動作と姿勢コントロールについてお話をさせて頂きます。
皆様、リハビリの時に「お食事の時は麻痺側の手を机の上に乗せるようにしてくださいね」と
セラピストからアドバイスをもらったことがあると思います。
皆様「わかりました」と言って、できるだけ麻痺側の手を机に乗せるようにしてくださっています。
しかしですよ?・・・正直なところ「麻痺した手を机に乗せないからって何が変わるの?」と、ちらっとでも頭をよぎった方はいらっしゃいませんか?
ここではっきり言いましょう。麻痺側の手、(スプーンを使っていない方の手)を机に乗せないと・・・。
姿勢とスプーン・お箸の操作性が変わるんです!!!!!!!!!
変わるんですよ。大事なことなので2回言いました。
ここで大和大学研究紀要に掲載されていた実験をご紹介します。
医療系専門学校に通っている学生21名に対し、60秒間でスプーンでどれだけの豆を移すことができるかという実験が行われました。
実験は課題Ⅰ.「非利き手を机に乗せる」を行い、次に課題Ⅱ.「非利き手を机に乗せない」順番で行われました。
結果は、課題Ⅱ「非利き手を机に乗せない」方は、早い段階から体が大きく非利き手に側に傾き、前方への重心移動が不十分になる人数が多くなりました。
また、身体の傾きだけでなく、豆をこぼす量も課題Ⅱの方が多くなりました。
中枢神経系に障害がない方でも非利き手を机上に乗せないだけでこんなに姿勢に差が出るんですですね!
原ら1)は研究の考察において
姿勢制御が障害された片麻痺患者では、片手のみを使用した食具操作において健常者以上の姿勢崩れが生じることは明白となり、食べ物が少なくなるほど姿勢制御が困難になることが判明できた.そこで、片麻痺者の食事動作では麻痺側の安定要素がかなり必要になるため、非麻痺側手によるスプーン操作に伴う早期からの麻痺側への体重移動と立ち直り運動を促進して机上に麻痺側上肢を持続的におけるレベルまで到達しておく必要がある.
と述べています。
臨床では「机に麻痺側上肢を乗せておくことが難しい」方によく出会いますし、ご相談を受けます。
麻痺側上肢に力が入らずに机から麻痺側上肢が落ちる、あるいは麻痺側上肢が曲がってくるなど・・・。
そのようなときには、まず麻痺側の骨盤・体幹をクッションなどを使って姿勢を安定させることも一つの方法です。
それでも麻痺側上肢が机上から落ちてしまう方は、「重錘バンド」の使用もおススメです。
このように手首や足首に巻いて使う錘(おもり)です。
これを巻かずに錘を伸ばした状態で、麻痺側の手首や麻痺側の手の甲(指は伸ばした状態で)において、麻痺側手が机から落ちないようにします。
スポーツショップの筋トレコーナーでよく見かけますので、是非チェックしてみてください。
麻痺側上肢が曲がってくるという方は、錘を使ってもなかなか机に麻痺側上肢を置き続けることは難しいと思います。
そのような方は麻痺側上肢と体幹の間にクッションを挟み、麻痺側上肢の重さが直接肩に掛からないようにするだけでも、姿勢の傾きを軽減することができます。
是非、試してみてください。
ここで紹介した麻痺側上肢を机に乗せておく方法はほんの一部です。最適な方法はその方、その方で違いますので是非ご相談くださいね。
(当センターへのお問合せはこちらから)
本日は、食事動作と姿勢コントロール~麻痺側上肢を机上に乗せておくことの重要性~についてお話をさせて頂きました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
加藤でした
【参考文献】
1)原義晴,細川雄平,北山淳,福本倫之,南征吾. 食具操作と姿勢制御の関連性-スプーン操作時の重心移動について―. 大和大学研究紀要. 2015,3,16, 1 , P187-194
http://id.nii.ac.jp/1677/00000028/
少しずつ涼しくなってきましたが、皆様体調はいかがでしょうか?
前回から少し間が空いてしまいましたが、引き続きコミュニケーションについてお話させていただきます。
コミュニケーションの発達のところでは、アイコンタクトをしっかりと取ることで、信頼関係の形成とコミュニケーションを取りたいと思うモチベーションを育てることが大切であると話しました。
また、「立つ」など動作を表すことばは実際の動作を行いながら声掛けを。
数や大きさなど概念的なことばは視覚情報だけでなく、重さを感じさせながらなど、身体の感覚も一緒に使いながら覚えられるように働きかけを工夫するといいですよという話をさせていただきました。
しかし、ことばを「理解」できていても「話す」ことに難しさを抱えている方はたくさんいらっしゃいます。
そこでお子様とのコミュニケーションに役立ちそうなアプリやサイトをいくつか見つけましたので、ご紹介させていただきます。
えこみゅ(※サイトはこちら)
こちらはLITALICOさんが出しているアプリで、表示される絵カードに音声がついています。
また、お好きな写真に音声を録音することもできます。
このように絵カードが表示されますので、お子様は絵にタップするだけ!私もスマートフォンにアプリを入れてみましたが、なかなか使いやすそうです。
ただ、スマートフォンですと画面が小さいのでお子様によってはタップしにくい方もいらっしゃると思います。
iPadなどのタブレットをお持ちの方は、そちらの方が使いやすいかと思います。
絵カードをよくコミュニケーションツールとして使われるお子様におススメのサイトが・・・。
絵カードメーカー(※サイトはこちら)
スマートフォン・パソコンで、イラストやスマホ内の写真を使って絵カードを作ることができます。
写真と表題をつけるとこんな感じになります。お子様にもわかりやすそうですよね✨
あとはプリントアウトしてチョキチョキ切るだけ!
こちらのサイトでは自閉症スペクトラムのお子様向けと記載されていますが、コミュニケーションに難しさを抱えていらっしゃる様々なお子様に使うことができると思います。
アプリの操作とか自分で作るのは苦手!という方(私もです・・・。)には
小児STナビ(※サイトはこちら)
●とにかく「はい」「いいえ」がわかりやすいです。見やすい50音表もあります。
やんちゃワーク(※サイトはこちら)
●お子様が自分の感情を相手に伝えるツールとして使いやすいです。
操作は簡単!
ダウンロード→プリントアウト 2工程のみです!・・・最高!
やんちゃワークさんはプリントワークもたくさん取り扱っていらっしゃいます。
お子様とのリハビリを通した関わりの中で、お子様のことばの「理解」と「表出」に大きな差を感じることは少なくありません。
お子様の心の中にはたくさんのことばが溢れているのに、お子様は伝えるすべがない・・・。
そんなお子様の力になれたら、と思わない日はありません。
今回紹介させていただいたアプリやサイトは氷山の一角です。
是非、いろいろと試していただいてお子様、ご家族様、先生方が使いやすい物を探してください。
そしていいツールがありましたら、私にも教えてください★
またまた長文になってしまいした汗
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
加藤でした
今回も、言葉・コミュニケーションの発達と支援についてお話したいと思います。
前回は、話すことができるようになるためには、「ことば」の基盤となる社会性・認知機能の発達が重要となり、両親・療育者とのアイコンタクトや声掛けが相互の信頼関係を形成し、他者とコミュニケーションが取りたいという動機が生まれるという話をさせていただきました。
今回は、【認知機能】についての続きです。
認知機能とは、視覚や聴覚等の知覚を通じて外界から得た情報を基に、周囲や自分の状況を認識して適切に行動する能力のことです。
ことばを話す前段階では、見る・聞く・触ることでものごとを認識していくようになります。
身の回りの物やおもちゃなど、手に触れたものを握る・手に触れた物を口に運ぶ・遊ぶことで、だんだんと物の使い方を理解し、物を用途や目的によって分別するようになります。
このような経験を通して得られる物の知覚に関する情報のおかげで、物に対してだけでなく、様々な特徴に対してもラベルを結びつけることができるようになります。(象徴機能といいます)
具体的には、大きいスプーン、小さいスプーン、木製のスプーン、金属製のスプーン、おもちゃのスプーンなど、素材や大きさ、わずかな形状の違いがあっても、すべて同じ目的の「食べること」のために使うことができるということを理解できるようになります。
また、手を振る行為が「バイバイ」など、動作とことばを結びつけることができるようになります。
しかし、脳性麻痺のお子様は弱視や斜視、眼球運動の難しさなどの影響で視知覚に問題を抱えていることが少なくありません。
ですから、視覚情報だけではことばと結びつきにくいことがあります。
そのようなお子様は動作とことばを結びつける際に、「立つ」といいながら立たせてあげる、「座る」といいながら座らせてあげるといったように、視覚だけでなく実際の動きとことばを連動させてあげると理解しやすくなります。
また、「大きい・小さい」「たくさん・少ない」等、概念的なことばも視知覚に難しさがあると理解しにくいので、大きいボールを触らせながら「大きい」、小さいボールを触らせながら「小さい」と声掛けをしてあげる
袋を持たせて袋の中に1つの2.3個のビー玉を入れて「少ない」10個のビー玉を入れて「多い」と声掛けをして重さで量の違いがわかるようにする、あるいは袋を振って音の違いで量の多さを教えてあげるのもいいと思います。
このように視覚だけでなく聴覚や体性感覚など、様々な感覚を使いながら声掛けをしてあげると概念的なことば理解しやすくなります。
是非、それぞれのお子様が得意な感覚を利用して、ことばの理解の手助けをしてあげて下さい。
またまた長くなりましたので、このあたりで一度区切りたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
加藤でした