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前回、就学に向けて書字について支援させて頂いたお子様のお話です。
書字ともう一つ相談がありました。
それは「定規でうまく線が引けない」とのことでした。
幼稚園でも型取りの活動があるのですが、線がずれることが多いそうです。
早速、定規で線を引いていただきました。
写真を見て頂くと、鉛筆の先端が定規に向かっていません。
定規で引いた線です。
線を引いている間、定規に鉛筆の先端を当て続けることが出来ずに、線が波打ってしまいました。
定規を押さえる力が弱く、線の終わりになると定規がずれてしまい線が斜めになってしまいます。
線の終わりにつれて筆圧も弱くなっていますね。
では、練習開始!
まずは、介助者が定規を押さえ、お子様には鉛筆の先端を定規に当て続けながら、線を引く練習をしてもらいました。
何度か練習すると、まっすぐ線を引くことができるようになりました。
しかし、お子様に定規を持って線を引いてもらうと、定規を押さえる力が弱く定規がずれたり、逆に定規を押さえる力が強すぎて定規で鉛筆を押し上げたりする様子がみられました。
「定規を押さえるちょうどいい力加減がわからない・・・」とのことでした。
そこで使ったのが、こちら。
アッシュコンセプトさんが販売している「アーチルーラー」です。
その名の通り、アーチ状になっている定規です。
定規の真ん中を押すと・・・。
このようにアーチが伸びて定規がまっすぐになります。
まずは左手のみで、定規がまっすぐになる位の力で抑える練習を何度か行いました。
力が入っているときは、徐々に力を抜いて定規がアーチ状に戻る手前の力加減を探してもらいました。
指先の感覚で力加減を調整するのが少し苦手だったので、このように視覚からの情報で力加減を覚えてもらいました。
いざ、線引き!
まっすぐに線を引くことができました!
線は波打っておらず、筆圧も一定にできています。
「できた!」と周りの大人は拍手喝采(笑)
お子さんも喜んでいらっしゃいました。
今はアーチルーラーからの抵抗感とアーチルーラーがまっすぐかの視覚情報で力加減を調整されているので、
今後は徐々に普通定規に切り替えて、鉛筆から定規を押される力や紙との摩擦に対しての力加減のコントロールを練習していきたいと思っています。
小学校に入ると、定規・30㎝の竹定規・三角定規・コンパス・リコーダーなどなど、
たくさんの道具操作が必要になってきますよね(汗)
道具操作において、力加減のコントロールはとても重要です。
お困りのことがりましたら、是非お気軽にご相談ください。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました★
加藤でした。
こんにちは。段々と寒い日が多くなりましたね。
11月も後半に差し掛かり、就学に向けて準備を進めていらっしゃるご家庭も多いと思います。
今回は、そんなお子様に書字について支援させて頂きましたので、そのお話をしたいと思います。
ご相談内容は、ひらがなの練習をしているけど指先の力が弱いのか、鉛筆の持ち方が気になるとのことです。
書字中の姿勢はよかったので、鉛筆の持ち方・書字中の指の動きに主に着目して評価を行いました。
早速、お子様に「の」を書いてもらいました。
鉛筆の持ち方ですが、親指・人差し指で作る「C字」が潰れています。
親指の根本で鉛筆を押さえているように見えます。
人差し指は第一関節が反っていますね。
(※右側に正しい持ち方の写真を提示しました。)
そこで、お子様が鉛筆を持ちやすく、書きやすくなる方法がないか、いろいろな物を試してみました。
まず、親指・人差し指・中指の「三指握り」がしやすいように「くもん」さんの三角鉛筆を試しました。
しかし、持ち方はあまり変わらず・・・。
ただ、ご本人は「人差し指がえんぴつにぴたっとするから力が入りやすい」とのことでした。
そこで、さらに持ちやすくなるように三角鉛筆+鉛筆ホルダーで試してみることにしました。
三角鉛筆+太めのペンホルダーです。
親指の位置がよくなり、三指握りに近い形になりましたね。
しかし、人差し指の反りがまだ気になります。
親指・人差し指に過剰に力が入っているようにも見えました。
こちらは、KUM®さんのSattler Gripを使用しています。
もう少し、人差し指を安定できないかと次に試したのが、トンボ鉛筆さんの「もちかたくん」です。
鉛筆の太さの関係で三角鉛筆にこの鉛筆ホルダーが入らなかったので、普通の鉛筆を使用しています。
幼稚園でもこのペンホルダーを使用して練習しているそうです。
一見、きれいな三指握りの持ち方をされていますが、いざ書字を行うと人差し指と親指の間で鉛筆がぐらぐらしていました。
手のひらの中の空間が大きくなり、鉛筆を安定させにくい印象です。
本人も「書きにくい・・・。」とのことでした。
やはり、ある程度しっかりと鉛筆を握っている感覚がした方が持ちやすい様子でした。
そこで最後に試したのが、三角鉛筆+「ダイソー」さんの鉛筆ホルダーです。
シリコン素材で指先がフィットしやすく、ペンホルダーには指の形に窪みがついており、指の位置を適切な場所にガイドしてくれます。
こちらを使用すると人差し指の第一関節の反りがなくなり、一番きれいな三指握りになりました。
指先にも適切な力が入っています。
書字の結果です。少し見にくいですが・・・。以下、書字中の指の動きの特徴です。
●左上の普通鉛筆は、「の」の書き始めが突き抜けています。書字中は鉛筆の先の細かい動きの調節が難しそうでした。
●左下の三角鉛筆は「の」の書き始めは突き抜けていませんが、まだまだ、指先の細かい動きと力加減の調整が不十分で、線がガタついています。
●ペンホルダー3つのうち、左下の「三角鉛筆+Sattler Gripのペンホルダー」は鉛筆はしっかり持てていましたが、書字中の人差し指が伸びる動きが不十分で「の」が平たくなりました。
●ペンホルダー3つのうち、一番上の「三角鉛筆+もちかたくん」は一見、きれいな「三指握り」で持てていましたが、書字中は鉛筆がぐらぐらするので徐々に指先に力が入り「の」を書くたびに段々と字が小さくなってしまいました。
●右下の「三角鉛筆+ダイソーさんのペンホルダー」は持ち方がきれいな「三指握り」になり書字中の指の動きもほとんど気になるところがありませんでした。
これらの結果から、書字を練習するときは「三角鉛筆+ダイソーさんのペンホルダー」を使用して頂くことになりました。
今後の練習の成果が楽しみです。
いかがでしたか?
鉛筆・ペンホルダーの形状を変えるだけでこんなにパフォーマンスが変わります。
今回、こちらのお子様には「三角鉛筆+ダイソーさんのペンホルダー」が合っていましたが、
他のお子様には別のペンホルダーや鉛筆が合うことも多々あります。
「これがいいので、これを使ってください」とみんな同じにするのではなく、それぞれのお子様に合うもの・方法を探すことが大切です。
「弘法筆を選ばず」なんて諺がありますが、
是非、使う物にはこだわってお子様にあったものを選んで頂きたいと思います。
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
就学前には気になること、不安になることがたくさんあると思います。
ぜひ、お気軽にご相談くださいね。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
加藤でした
当センターを利用頂いている脳性麻痺のお子様のお母様から、歩行器での歩行の様子を見てほしいと依頼がありました。
普段使われている歩行器を自宅からご持参いただき、歩行の評価を行いました。
歩行器での歩行の様子を見させていただくと、体幹が前のめりになりやすく足を振り出すときに、体幹が左右に動揺されていました。
スピードも出やすく、歩行器を押さえる介助を行うか錘をつける必要がありました。
しかし、お母様の介助で歩くときはとっても上手に体を起こして、身体の左右の動揺も少なく歩いていました。
お母様の介助方法を見ますとお腹のあたりに手を置いてらっしゃったので、お腹に「当て」があると歩きやすいことがわかりました。
そこで、歩行器に「当て」になるベルトを着けてみました。
少し見にくいかも知れません(汗)歩行器の骨盤パッドのところに工具などをぶら下げるサポートベルトを取り付けています。
サポートベルトは耐久性のある紐でしっかりと固定しています。
サポートベルト。ホームセンターなどで売っています。
裏はこのような感じで、今回はクッション性があるものを使用しました。
サポートベルトに作業ベルトを通し、ワンタッチで装着できるようにしています。
歩行器で立って歩いているところです。
しっかりと体をおこすことができています。歩行スピードはまだやや速めですが、危なっかしさは減り、歩行中の体幹の左右への動揺も少なくなりました。
サポートベルトは中央部分が一番幅広くなっているので、「当て」の面積が広くなるように
最初は後ろでカチッとベルトを止めるように設定したのですが、歩行中にベルトがずれやすく、立ってベルトをつけるときにも手間が多くなってしまうので、このような形に落ち着きました。
後日、お母様から「本人も以前に比べ腰が安定し、歩きやすそうです」と嬉しいコメントを頂きました
お子様の能力を発揮できるお手伝いができ、嬉しく思います。
どうしてもお子様の難しいところに目が行きがちですが、うまくできている場面や環境を見逃さずに日常生活に活かせるようにしていきたいと改めて思いました。
※ブログの掲載にあたり、お母様から写真を使用する同意を頂いています
だるまリハビリセンターは、お子様のお困りごとを解決するお手伝いをさせて頂いています。
是非、お気軽にご連絡ください★
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
加藤でした
今日は、登下校中のお困りごとに対し、ご相談を受けた話をしたいと思います。
当センターのホームページ動画「立ったまま靴下をはくことができるようになった!」にご協力いただいたお子様です。
自閉症スペクトラム疑いと診断され、現在は普通小学校の支援学級に通ってらっしゃいます。
以前は多いと週に一回、登下校中に転ぶことがあったそうですが、最近はバランスや集中力も良くなり登下校中に転ぶことはなくなりました。
他にお困り事がないかお伺いしたところ、
「実は・・・。」とお話してくださいました。
なんでも、登下校中の手荷物に困っているそうです。
お子様は手に何か持つのがとにかく嫌いで、全ての荷物を無理やりランドセルに入れようとするそうです。
下校前にはランドセルに荷物がすべて入らなくて、帰りの準備が中々終わらず、クラス全体の帰りが遅くなることもあったそうです。
お子様ご本人に聞くと、「手提げを持ってると歩きにくくなるの。怒られるのもわかってるけど振り回しちゃうし。途中で置き忘れてくることもある。月曜日と金曜日は荷物も多いし、雨が降ってたら傘も持つからもう最悪」
とのことでした。なるほど・・・。
登校中の動画を見せて頂くと、ご自宅から集合場所に行くまでの間でも、荷物をぶんぶん振り回していました。
荷物を振り回すことで体も振られて、ふらふら歩いているように見えます。
そこでいろいろ調べて、ご紹介したのがこちら
「未来工房 結」さんが販売している「てぶラン」です。
ランドセルの補助バックで、写真のようにランドセルの側面に取り付けることができます。
ランドセルと「てぶらん」の中身です。この日は「てぶラン」に体操服を入れてらっしゃいました。
ランドセルには、上着・水筒・上履き袋、写真には写っていませんが、iPadも入っているそうです。
他社さんで、ランドセルの両側面に取り付けるタイプの補助バックがあったので、そちらも紹介しましたが、(荷物が偏ると重心が傾いてバランスの問題が出るのでは、と考えたので)
ご本人曰く、「オレ入れるところ多すぎても、どっちに何を入れたか忘れる問題があるから1つでいい」とのことで
こちらに落ち着きました。前より自己分析の精度があがってらっしゃって、成長を感じました!(^^)!
通われている小学校は、手荷物は学校指定の手提げ袋に入れる決まりがありましたが、
お子様の特性と登下校中の事情を担任の先生と校長先生に説明し、ランドセル補助バックを使用する許可をもらうことができました。
(ちなみに絵具セットや習字セットなどの大きい物は学校に置いて、筆やパレットなどの汚れ物のみをビニール袋に入れて持ち帰ることになりました)
しかし、今の小学生って本当に荷物多し、重いですね・・・。
お子様のランドセルを許可を頂いて背負わせてもらったら、あまりに重くて思わず「え?修行?」と聞いてしまいました。
「ほんとだよ・・・。」とため息交じりに答えて下さいました(笑)
「でも手荷物持たなくてよくなったし、ストレス減ったよ!お帰りの準備も早くできるようになった!」
と笑顔で教えてくれました。
きっと、大人が気づいていなくても、子供さんが困っている事は大きなものから小さなものまで、たくさんあると思います。
これからも、そんな困りごとを取り除くお手伝いができればいいなと思いました。
お困り事やご相談がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください★
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長い文章になりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
加藤でした
当センターを利用頂いているお子様のお母様からスプーン・フォークの操作についてご相談がありましたので、T字スプーン・フォークを作成しました。
元々は、以前に改造スプーンを作っていて、それを使われていましたが、お子様が大きくなりサイズが合っていなかったので作成することになりました。
最初は乾燥すると固くなる樹脂粘土で作成しましたが、スプーン・フォークが重くなってしまったので、
(総量65g・・・)
素材を変えまして、再度挑戦です。
小学校高学年以上にになると、手が大きくなり、T字の部分を全て粘土や樹脂で作成するととても重くなってしまいます・・・。
健康な方は多少重いかな?といった感じで済みますが、やはり、手首や指の筋力が弱い方には重さはとっても重要な要素になります。
軽量化を図るためにで今回は中芯にホームセンターで売られているホースを使用しました。
ホースを必要な長さに切り、写真のように切り込みを入れて・・・。
スプーン・フォークにくるくる巻き付けて、接着剤でとめます。
今度は自由樹脂を使いました。粒状になっていて60度以上のお湯につけると粘土状に柔らくなります。
溶けている間は、写真のように透明になり、冷えると白色になって、プラスチックぐらいの強度になります。
それをスプーン・フォークと中芯につけて成型し・・・。
完成!
重さもなんとか47gに抑えることができました・・・。
スプーンですくうときに、腕や首に力が入っていたので、すくいやすいように スプーンの先端を上げています。
また、スプーン・フォークを口に取り込むときにも、手のひらを上に向ける動き(回外といいます)が少しやりにくく、肩に力が入っていたので、スプーンの先端が口に向かいやすいように、気持ちカーブをつけました。
人差し指、親指、中指でしっかり把持できるように窪みもつけています。
スプーン・フォークを持った時に、親指と人差し指できれいなC字を作れるように、人差し指の根本の部分を少し厚めに作っています。
スプーンですくうところです。このときはまだ指の部分に窪みをつける前でしたので、すくうときに人差し指が外れていました。
窪みをつけてから、お家で食事をするときも親指・人差し指が外れにくくなったそうです。
リハビリで手の練習をしつつ、スプーン・フォークなどの道具や座る姿勢・椅子の環境を調節しながら、お子様が食べやすいようにお手伝いさせて頂いています。
また、次回のリハビリで様子をお聞きしつつ、調整していきます。
だるまリハビリセンターでは、日常生活でのお困り事に対し、リハビリ・支援をさせて頂いています。
どうぞお気軽にご相談ください。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました★
加藤でした